最後の夜をプキを真ん中に川の字で過ごし、そしてお別れの朝がやってきました。
宮古島ではペットの葬儀・火葬をしてくれる施設がないので色々調べたり先生に聞いたりして沖縄本島へ飛行機で送り届けてお願いすることになったので、そのための準備をしています。
タオルに包んだプキをそっとケースに入れたらみんなから戴いたオモチャをひとつひとつ言葉をかけながら入れていき、メグミさんが作った介護用の服も、それから天国でもプキちゃんが幸せでいられるように戴いたお守りも、そして皆さんから戴いたお手紙の数々に、それからプキと一緒に三人で撮った写真もメッセージを書いて。まるで眠っているようなプキの顔の周りに摘んできたハイビスカスやブーゲンビレアを飾ったら、プキが大好きだったオリオンビールを小さなボトルに入れて。
その前にボトルのキャップを外したらプキの口元へ。少しだけ口に含ませてあげると今にもペロペロと舌を出してキラキラの瞳で嬉しそうな顔するんじゃないかと思うくらい、顔といい毛艶といい死んじゃったなんて思えなくて、まだ10歳、元々子供っぽい顔だったプキだから老犬なんて感じは全然なくて、病気さえなかったらまだまだ元気に生きられたのに、まだまだずっと一緒にいられたのに。
だけどそろそろ行かなきゃ、最後にタオルを掛けてあげて箱を閉じなきゃだけどどうしてもできなくて、湿った口元に手を当て鼻を撫で頬を撫で目を撫で耳を撫で、プキちゃんカワイイね、プキちゃんありがとね、プキちゃん大好きだよ、プキちゃん、プキちゃん、プキちゃん・・・
何度も何度もためらって、最後は泣きながら封をしたら、後部座席に乗せ車を走らせます。
慣れ親しんだプキの散歩道を順番にまわり、それから空港へ。車から降ろして預けたらもうそこでお別れだから、最後にもう一回だけ顔見る?って聞いたら泣いちゃうからもういいって。だけど開けてもまた封が出来るようにガムテープ持ってきたよって、それじゃあちょっとだけって。
一度閉じた箱をまた開けて、プキの顔をその目に焼き付けるように、だけどその顔は涙で滲んでそれはもうどうしようもなくて、最後のお別れの言葉は「プキちゃんバイバイ、またね」そう言ってプキとお別れするのでした。
「またね」はいつのことなのかわかりはしないけど、またいつかどこかで逢えるような、そんな気がしてならないのです。
プキは我が家にやって来て、そしてこの島にやって来て幸せだったんだろうか。今となってはそれを聞くこともできないけれど、きっと幸せだったよね。だって僕らはプキのおかげで幸せだったもの。プキがいなければプキの家はなかったし、プキのおかげで出会えたたくさんの仲間、宝物が僕らの周りにいっぱいあるもの。
僕とメグミさんの結婚生活のほとんどを、そして島暮らしの全てを、もちろんプキの家のすべてを一緒に過ごしてきたプキ。周りを笑顔にした分だけ自分たちも笑顔になり、周りを幸せにした分だけ自分たちも幸せを感じられる、そんな暮らしをしてきた僕らだから、僕らよりもっともっとみんなを幸せに、そして笑顔を与えてきたプキだから、きっときっと幸せだったはず。
どうか僕らのことを忘れないで、僕らもプキのこと、いつまでもいつまでも忘れないよ。心はずっと一緒だからね。
プキちゃんバイバイ、またね